
僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Valve Insufficiency, MVI)は、犬における一般的な心臓疾患の一つで、特に高齢の犬に多く見られます。この病気は、心臓の僧帽弁が正常に閉じなくなることで血液が逆流し、心臓への負担が増大する状態です。症状が進行すると、咳、呼吸困難、運動不耐性などが現れ、最終的には重篤な状況に至ることもあります。
ですが、心臓病を持つ犬にとって、適切なドッグフードを選ぶことで症状を和らげ、病気の進行を遅らせることが可能です。
本記事では、僧帽弁閉鎖不全症に悩む犬のための食事管理方法と、適切なドッグフード選びについて詳しく解説します。
僧帽弁閉鎖不全症とは?
犬の心臓には「僧帽弁」という弁があり、これは心臓の左心房と左心室を隔てています。健康な状態では、左心室から左心房に血液が逆流しないように、この弁がしっかりと閉じる役割を果たしています。しかし、何らかの理由で僧帽弁が正常に閉じなくなると、心臓の左心室に血液が逆流してしまいます。これが「僧帽弁閉鎖不全症」と呼ばれる病気です。
逆流した血液は心臓に負担をかけ、心臓の機能が徐々に低下していきます。特に高齢犬に多く見られる病気ですが、早期に発見して適切な治療を行うことで、進行を遅らせることが可能です。
症状と進行の仕組み
初期の段階では、犬が僧帽弁閉鎖不全症を患っていても、症状が現れにくいことがあります。しかし、病気が進行すると、以下のような症状が見られることが多くなります。
主な症状:
・咳:特に夜間や休息時に見られることがあります。心臓に負担がかかることで気道に水分がたまり、咳が出やすくなります。
・呼吸困難:心臓がうまく血液を送り出せなくなると、肺に水分がたまるため、息が苦しくなることがあります。普段よりも呼吸が速く、浅くなることが特徴です。
・疲れやすさ:犬が散歩中にすぐに疲れてしまう、または遊ぶのを嫌がるようになることがあります。心臓が十分に血液を送り出せないため、体が十分に酸素を供給できなくなるからです。
・食欲不振:体調が悪化するにつれて、食欲が落ちることがあります。
・水をたくさん飲む:心臓病によって体液バランスが崩れ、水分を多く摂取するようになることがあります。
進行するにつれて、症状はさらに悪化し、最終的には心不全に至ることもあります。初期段階では軽度の症状が見られるだけですが、病気が進行するにつれて犬の生活の質が大きく低下するため、早期の発見と対処が重要です。
犬の心臓病におけるリスク要因
犬が僧帽弁閉鎖不全症を発症するリスクにはいくつかの要因が関わっています。以下のポイントがそのリスクを高める要因です。
1. 年齢:
僧帽弁閉鎖不全症は、特に高齢の犬に多く見られます。犬も人間と同じように年齢を重ねると、体の各部分が徐々に老化し、弁も硬くなったり、弾力性を失ったりします。その結果、弁が完全に閉じなくなり、逆流が起きやすくなります。
2. 犬種:
特定の犬種は心臓病の発症リスクが高いとされています。特に小型犬に多いですが、特に「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」「ダックスフンド」「チワワ」「ポメラニアン」などの犬種は、僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい傾向があります。
3. 遺伝:
犬種によっては、僧帽弁閉鎖不全症が遺伝的に引き起こされることがあります。そのため、同じ犬種内で病気が多く発症することが知られています。遺伝的要因は完全には解明されていませんが、親犬から子犬に遺伝する可能性があるため、繁殖には注意が必要です。
4. 肥満:
肥満の犬は心臓に余分な負担をかけることになります。特に肥満による血圧の上昇や心臓の負担は、僧帽弁閉鎖不全症の進行を早める可能性があるため、体重管理が大切です。
5. 高血圧:
高血圧も心臓に負担をかけ、心臓病の進行を早める原因になります。犬においても、特に高齢犬では高血圧が発症しやすいことがあり、これが心臓病に影響を与えることがあります。
犬の僧帽弁閉鎖不全症
●小暮一雄
●動物の循環器 第20号 13-23(1987)
僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、高齢犬における左心不全の基礎疾患として発生頻度も高く重要である。
本症の僧帽弁(MV)は、後述するように結節性・び慢性肥厚を伴って風船状に膨らんだ状態を示す。
左室収縮期にはこのMVが弁輪を超えて左房内に脱出するため僧帽弁逸脱症(Mieral valve prolapse:MVP)とも呼ばれている。
犬 の心疾患発生状況
心疾患と診断されたものは,全 疾患合計57,847件中2,547件(4.4%)で,48疾病名であった。
疾病群の発生状況は表6,そ の年次推移は図1に示した。
犬の心疾患では,まだ犬フィラリア症が大きな比率を占めている。
しかし犬フィラリア症は全集計平均では27.4%であるが,1994年 に36.2%であったものが年々漸減し2000年には15.3%に減少している。
2002 S-1-41肺水腫および腹水は,こ れらの症状が初診時に著明であったものであり,何らかの心疾患が主因となっているものである。
肺水腫の主因は僧帽弁閉鎖不全,腹水は糸状虫が考えられる。
腹水は1994年に9.6%であったものが年々減少し2000年には3.6%に減少した。
一方肺水腫では年次的一定傾向はみられなかった。
図1犬 の心疾患群の年次推移〔‘94~‘00年〕心不全はほとんどが慢性心不全を意味し,弁 膜症に起因して心不全症状が悪化しているものである。
全平均では27.1%であるが,1994年には16.2%であったものが漸次増加し2000年には45.0%を示している。
弁膜症は多くは加齢に伴う僧帽弁,三 尖弁閉鎖不全が占めている。
全平均では15.4%で,そ の内訳は僧帽弁閉鎖不全14.29%,三尖弁閉鎖不全0.59%,僧帽弁狭窄0.27%,肺 動脈弁閉鎖不全0.12%,大 動脈閉鎖不全0.08%であった。
1994か ら2000年の間には11.3~22.8%内を変動したが一定傾向はみられない。
出現した不整脈は17種 でその発生状況は図2に示した。
発生率は全平均8.2%で,1994年は4.4%であったものが年々増加し2000年は10.6%になった。
多くみられる不整脈は,心室期外収縮,洞徐脈,洞不整脈,洞頻脈,第1度 房室ブロック,心 室頻拍,洞 停止,第III度房室ブロック,上室期外収縮,心房細動の順であった。
図2犬の不整脈の発生状況〔‘94~‘00年〕その他には心奇形,心 筋症,心 筋炎,肺 高血圧,血管疾患,浮 腫,胸 水,心 膜血腫等である。
発生率は高いものでも0.47%以 下であった。
参照元:犬 の心疾患の発生状況
疾病名 例数 % 犬フィラリア症 697 27.4% 心不全 689 27.1% 弁膜症 391 15.4% 心臓肥大・拡張 253 9.9% 不整脈 210 8.2% 肺水腫 118 4.6% 腹水 92 3.6% その他 97 3.8% 合計 2547 100.0%
犬の僧帽弁閉鎖不全症における外科的治療:僧帽弁修復術
●上地正実
●日本大学生物資源科学部
●日獣会誌 65 611~616(2012)※下記抜粋
犬の僧帽弁閉鎖不全症は発症率の高い心臓病である[1].
僧帽弁における血液の逆流は左心系のうっ血と心拡大を認め,発咳,肺水腫及び呼吸困難をおもな臨床徴候とする.
内科治療は血管拡張薬,利尿薬及び強心薬を中心に行うが,重度僧帽弁閉鎖不全症の犬の予後は悪い[1].ピモベンダンを投与することで僧帽弁閉鎖不全症の犬の臨床徴候及び予後は改善されるが,一方でこれらの犬の80%が2年以内に僧帽弁逆流の悪化もしくは死に至ることが報告されている[2].
内科治療は対症療法であり僧帽弁の構造的な異常を治療することはできない.
僧帽弁閉鎖不全症の臨床徴候と予後を改善させるためには外科的介入による弁構造の修復と機能を回復させる必要がある.
僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁弁置換術及び弁形成術は,人医療において標準的な手術法である[3h6].
一方,小動物において開心術による僧帽弁手術は限られた臨床症例でのみ試みられてきた[7h14].
開心術はおもに大型犬に適応され,小型犬においては従来の方法では体外循環の実施は困難であると考えられていた[9].
しかし近年,人工心肺装置を使った体外循環法は小型犬[13h17]及び猫[18]でも安全に体外循環を実施できるまでに改善されてきた.
これにより,小型犬を含むさまざまな大きさの犬種において開心術を行うことが可能となった[14, 19].
犬においても,変性した僧帽弁を機械弁[11]または生体弁[12]に置き換える人工弁置換術の報告がある.
機械弁による弁置換術では,適切なサイズの機械弁を用いることで長期予後が得られるが,強力な抗血栓療法を必要とする[18].
一方,生体弁は優れた抗血栓性をもち[12, 20],自己の僧帽弁を修復することが困難な僧帽弁異形成の症例に有効な治療法と考えられる[12].
人における生体弁置換術は移植後の経年変化で弁に石灰化が起こり,再手術が必要となることがあり,予後の改善が期待できないこともあると報告されている[21].
犬では生体弁による僧帽弁置換術から石灰化を認めずに17カ月以上生存したことが報告されている[12].人[4, 5]及び小動物[8, 9, 13, 14]において,弁輪縫縮術及び腱索再建術を含む僧帽弁修復術は耐久性に優れており,抗血栓療法が不要で,長期の臨床転帰を改善する[9, 13, 14].
また僧帽弁置換術に比較して,僧帽弁手術のコストを削減できる.
これらの観点から僧帽弁修復術は僧帽弁閉鎖不全症における主たる根治外科手術法になると考えられる.
(中略)
犬における体外循環下における僧帽弁修復術は,僧帽弁閉鎖不全症に対する重要かつ有効な治療法である.
僧帽弁修復術は,弁輪縫縮術とePTFE人工腱索による腱索再建術によって行われるが,経験と習熟が求められる.
また,この手術は単に術者の技術的習熟度が問われるものではなく,手術チーム全体の習熟が必要とされる.
手術チームは,術者,助手,麻酔,人工心肺技師,器具助手及び外回り助手で構成されるが,それぞれの担当間の連携が不可欠である.
これに加えて,術後管理チームも麻酔管理及び緊急処置について十分な知識と技術が要求される.
このためには術者はもちろんのこと手術チーム及び術後管理チームの十分なトレーニングが要求される.
スタッフトレーニングにはバーチャルなものも必要であるが,実際の症例手術の中でしか経験できないものが多い.
知識と技術の鍛錬が不十分な場合はケアレスミス一つで症例を失うことに繋がる.これらの観点からこの手術は安易に試みるべきではない.
心臓外科手術の手術成績を高く保つにはよくトレーニングされた手術チーム及び術後管理チームのスタッフが必要であり,これらのチームの知識と技術の水準を高く保つためには手術施設の近接を防ぎ,日本国内で2~3カ所程度に施設を限定して症例を集約するべきである.犬の心臓病に効果的なドッグフードの特徴
犬が心臓病を患っているとき、食事の管理がとても大切です。心臓に優しい食事を選ぶことで、症状の進行を遅らせたり、体調を改善したりすることができます。ここでは、犬の心臓病に効果的なドッグフードの特徴を詳しくご紹介します。
高品質なタンパク質と低脂肪
犬の心臓病に対応するためには、高品質なタンパク質を含んだフードを選ぶことが重要です。心臓が弱っている犬にとって、筋肉量を維持することが大切です。筋肉は心臓を支える重要な役割を果たしているため、適切な量のタンパク質が必要です。
しかし、同時に低脂肪の食事が求められます。心臓病の犬は脂肪分が多すぎると、血圧が上がりやすくなったり、体に負担がかかりやすくなります。低脂肪のドッグフードを選ぶことで、余分な脂肪を摂取せず、心臓に過剰な負担をかけないようにすることができます。
高品質なタンパク質源としては、鶏肉や七面鳥、魚などがよいとされています。これらは消化が良く、犬の体に必要な栄養素を効率よく供給することができます。逆に、脂肪分の多い肉類(例えば牛肉や豚肉)や、処理された加工肉は避けた方が良い場合があります。低ナトリウム(塩分)で心臓への負担を軽減
心臓病を持つ犬にとって、塩分(ナトリウム)の摂取量を制限することが非常に重要です。ナトリウムは体内で水分を引き寄せ、血圧を上昇させる原因となります。血圧が高くなると、心臓にかかる負担も増えてしまいます。特に心臓病を持つ犬は、ナトリウムの摂取を控えることで、血圧を正常に保ち、心臓の負担を軽減できます。
市販されている多くのドッグフードにはナトリウムが含まれていますが、心臓病の犬には低ナトリウムなフードを選ぶことをおすすめします。フードのパッケージに「低ナトリウム」や「心臓病用」と記載されたものを選ぶとよいでしょう。また、手作りフードを与える場合も、塩分を加えないよう注意が必要です。
抗酸化物質とオメガ3脂肪酸の重要性
犬の心臓病の管理には、抗酸化物質とオメガ3脂肪酸を豊富に含むフードが非常に効果的です。これらの成分は、心臓の健康をサポートし、炎症を抑える役割を果たします。
抗酸化物質(ビタミンE、ビタミンC、ベータカロテンなど)は、体内の活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素は細胞にダメージを与え、心臓を含む体全体の健康に悪影響を及ぼすため、抗酸化物質を摂取することで、心臓の細胞を守り、健康維持に役立ちます。
オメガ3脂肪酸(特にEPAとDHA)は、心臓に良い脂肪酸です。これらは血液の流れをスムーズにし、血圧を正常に保つ助けとなります。また、オメガ3脂肪酸は抗炎症作用があり、心臓病の進行を遅らせる効果が期待できます。サーモンやマグロなどの魚油や、亜麻仁油(フラックスシードオイル)に含まれているため、これらを主成分にしたドッグフードを選ぶことが理想的です。
心臓病に適したドッグフードを選ぶ際のポイント
犬の心臓病に適したフードを選ぶことは、愛犬の健康を守るために非常に重要です。ただし、どんなフードを選べばよいのか、またどのように与えればよいのかを理解するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、心臓病の犬に最適なドッグフードを選ぶ際のポイントについて詳しく説明します。
獣医師と相談することの重要性
心臓病の犬に適した食事を選ぶ際、獣医師と相談することが最も重要です。心臓病は犬の体にさまざまな影響を与えるため、犬の状態に合わせた食事が必要です。獣医師は、愛犬の病状や進行具合、体重、年齢、活動量を考慮したうえで、最適な食事のアドバイスをしてくれます。
例えば、心臓病の進行具合によっては、低ナトリウム(塩分)フードや、特別に調整された栄養素が含まれた療法食が必要な場合があります。獣医師の指導を受けながらフードを選ぶことで、心臓への負担を減らし、病気の進行を遅らせる手助けになります。
また、愛犬に心臓病がある場合、他の健康問題(腎臓病や糖尿病など)が併発していることもあるので、獣医師はそれらも考慮してフードの選択をサポートしてくれます。獣医師と定期的にコミュニケーションを取り、食事内容や健康状態をチェックすることが、愛犬の生活の質を維持するために大切です。
ドッグフードの成分表示をチェックする
ドッグフードを選ぶ際は、必ず成分表示をチェックすることが大切です。市販されているドッグフードにはさまざまな種類があり、心臓病の犬に適したものを選ぶためには、具体的に何が含まれているのかをしっかり確認する必要があります。
特に注意すべき成分は以下の通りです。
・タンパク質源:高品質な動物性タンパク質(例えば鶏肉や魚)を含むフードが良いとされています。タンパク質は筋肉を維持するために必要で、心臓をサポートするためにも重要です。
・脂肪の量:心臓病の犬にとっては、低脂肪のフードが好ましいです。脂肪分が多いと心臓に負担がかかるため、低脂肪で消化が良いものを選びましょう。
・ナトリウム(塩分):低ナトリウムのフードを選ぶことが重要です。高い塩分は血圧を上げ、心臓にさらなる負担をかけてしまいます。
・オメガ3脂肪酸:オメガ3(EPAやDHA)を含むフードは、心臓病に効果的です。これらは炎症を抑える働きがあり、血液の流れをスムーズにします。
・抗酸化物質:ビタミンEやビタミンCなどの抗酸化物質は、細胞を保護し、心臓の健康を守るために役立ちます。
フードの成分表示をよく確認し、これらの栄養素が適切にバランスよく含まれているものを選びましょう。また、無駄な添加物や化学的な保存料が含まれていない、できるだけ自然に近いフードを選ぶこともおすすめです。
与え方の工夫とサプリメントの併用
心臓病の犬には、与え方にも工夫が必要です。食事内容だけでなく、その与え方やサポートするサプリメントをうまく活用することで、より効果的に病気の進行を抑えることができます。
・食事の回数を増やす:心臓病の犬は一度に大量の食事を摂ると胃に負担がかかることがあります。1日2回ではなく、1日3回や4回に分けて少量ずつ食べさせることで、胃腸への負担を減らし、消化を助けることができます。
・食事の温度:食事を与える際にぬるま湯で温めると、食べやすくなるだけでなく、消化にも良い影響を与えることがあります。冷たいフードよりも温かいフードの方が、消化器官に優しいです。
・サプリメントの併用:心臓病を持つ犬にサポートができるサプリメントとしては、オメガ3脂肪酸(フィッシュオイル)、コエンザイムQ10、タウリン、Lカルニチンなどがあります。これらは心臓の機能を助け、血流を改善するために役立ちます。ただし、サプリメントは獣医師と相談しながら使用することが大切です。犬の体調や薬の服用状況によって、サプリメントの併用が適切かどうかを確認しておきましょう。
おすすめのドッグフードの種類
犬の心臓病の管理には、適切な食事が非常に重要です。市販のドッグフードから自家製のものまで、心臓病に対応できるフードにはさまざまな種類があります。愛犬の健康をサポートするためには、どのタイプのフードを選ぶべきか、またはどのように自家製フードを作るべきかを理解することが大切です。ここでは、犬の心臓病に適したおすすめのフードについてご紹介します。
市販の心臓病専用フード
市販されている心臓病専用のドッグフードは、心臓病を持つ犬のために特別に調整された栄養が含まれているため、便利で安心です。多くのペットフードメーカーが、心臓病に配慮した療法食を提供しています。これらのフードは、心臓への負担を減らすために、特に以下の要素に注意を払って作られています。
・低ナトリウム(塩分):塩分が高いと心臓に負担をかけ、血圧を上昇させるため、心臓病用フードは低ナトリウム設計です。
・高品質なタンパク質:心臓病の犬は筋肉を維持することが大切なので、高品質で消化の良いタンパク質が使用されています。これにより、筋肉量を保ちつつ心臓に過剰な負担をかけません。
・オメガ3脂肪酸:心臓に良いとされるオメガ3脂肪酸(例えばEPAやDHA)が豊富に含まれており、心臓の健康をサポートします。
・抗酸化物質:心臓病による酸化ストレスを軽減するために、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質が加えられています。
例えば、ヒルズやロイヤルカナン、アイムスなどのメーカーは、心臓病専用の療法食を提供しており、獣医師と相談しながら選ぶことができます。これらのフードは、心臓病の進行を抑えるために設計されており、特に医療機関で推奨されることが多いです。
自家製ドッグフードの作り方と注意点
自家製のドッグフードを作ることは、愛犬の食事管理において非常に良い選択肢ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。心臓病の犬には、栄養バランスが非常に大切ですので、間違った食材を使うと、逆に健康に悪影響を与えることがあります。
自家製フードの作り方:
・主成分を選ぶ:犬の心臓に優しい高品質なタンパク源を選びます。鶏肉、七面鳥、白身魚(例:サーモン、タラ)などは良い選択肢です。これらのタンパク質は消化が良く、脂肪分が少ないため、心臓に負担をかけません。
・野菜を加える:心臓病の犬には、抗酸化物質が豊富な野菜(例えば、ニンジン、ほうれん草、ブロッコリー)を加えると良いです。これらの野菜は免疫力を高め、心臓の健康を守ります。
・炭水化物:消化しやすい炭水化物(例えば、白米、甘いジャガイモ、カボチャ)を使うと、エネルギー源として犬の体に優しいです。
・サプリメントの追加:自家製フードにオメガ3脂肪酸(フィッシュオイルや亜麻仁油)、タウリン、コエンザイムQ10などのサプリメントを加えることで、心臓の健康をサポートできます。ただし、これらを追加する際は、獣医師の指導を仰いでください。
注意点:
・塩分を控える:自家製フードで塩分を控えることが重要です。心臓病の犬はナトリウム(塩分)を避けるべきなので、調味料や加工食品は使わないようにしましょう。
・栄養のバランスを取る:自家製フードは手作りであるがゆえに、栄養バランスが崩れがちです。必ず獣医師に相談し、必要なサプリメントや成分が十分に含まれているか確認することが大切です。
・火を通す:犬の食材は、しっかりと加熱してから与えるようにしましょう。特に生肉や魚には食材の寄生虫や細菌が含まれていることがあるため、必ず加熱して食べさせます。
他の健康サポートをするフード
心臓病の管理には、心臓をサポートするだけでなく、他の健康面も考慮したフードを選ぶことが大切です。例えば、以下のようなフードが役立ちます。
・体重管理用フード:心臓病の犬は、過体重だとさらに心臓への負担が大きくなります。そのため、低カロリーで栄養価が高い体重管理用のフードを選ぶことで、体重を適正に保つことができます。
・腎臓サポートフード:心臓病を持つ犬は、腎臓にも影響を及ぼすことがあります。腎臓機能をサポートするフードには、低リン、低タンパク質設計のものがあり、心臓病と腎臓病が併発している場合に役立ちます。
・消化サポートフード:心臓病の犬は消化不良を起こしやすいため、消化器官に優しいフード(低脂肪、高繊維)を選ぶと良いでしょう。これにより、食事が胃に優しく、腸内環境も整えることができます。
僧帽弁閉鎖不全症の進行を防ぐためにできること
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)は、犬の心臓に関わる病気で、心臓の弁が正常に閉じず、血液が逆流することで心臓に負担がかかる疾患です。進行すると心不全などの深刻な症状が現れることがあるため、早期に対策を講じることが大切です。進行を防ぐためには、生活習慣や体調管理をしっかりと行い、獣医師と連携しながらサポートしていくことが重要です。ここでは、僧帽弁閉鎖不全症の進行を防ぐためにできることについて、いくつかの具体的な方法をご紹介します。
運動と体重管理
適度な運動と体重管理は、僧帽弁閉鎖不全症の進行を防ぐために非常に重要です。
運動の重要性:
運動は心臓の健康を保つために欠かせませんが、無理な運動は心臓に負担をかけることがあるので、適切な量と内容を選ぶ必要があります。犬にとって必要な運動は、血液の循環を促進し、心臓を強化する助けとなります。特に、散歩や軽いフリスビー遊びなどの低負荷な運動が推奨されます。僧帽弁閉鎖不全症の進行を防ぐためには、激しい運動は避け、心臓に優しい運動を習慣化することが重要です。
体重管理:
過体重や肥満は、心臓に余分な負担をかけるため、体重管理は必須です。適切な体重を保つことで、心臓への負担を軽減し、病気の進行を遅らせることができます。食事量を適切に管理し、肥満を防ぐことが非常に大切です。獣医師と相談し、適切な食事計画を立てて、運動と食事で愛犬の体重を管理しましょう。
定期的な健康チェックと獣医師のサポート
定期的な健康チェックと獣医師のサポートは、僧帽弁閉鎖不全症の進行を防ぐために欠かせません。
定期検診:
僧帽弁閉鎖不全症が進行する前に、定期的に獣医師のチェックを受けることが大切です。早期に異常が発見されることで、適切な治療や予防策を講じることができます。検診では、心音や血液検査、エコー検査(超音波検査)などが行われることがあります。これらの検査で病気の進行具合や心臓の状態を把握し、最適な治療計画を立てることができます。
獣医師との連携:
心臓病の管理には獣医師のサポートが不可欠です。病気が進行しないようにするために、獣医師が適切な薬を処方したり、食事のアドバイスをくれることがあります。また、定期的なフォローアップを行うことで、状態が悪化しないように管理することができます。愛犬の状態に合わせた治療法を見つけ、獣医師との信頼関係を築くことが、病気の進行を防ぐために重要です。
ストレスの管理
心臓病を持つ犬にとって、ストレス管理は非常に大切です。ストレスは心臓にさらなる負担をかけ、病気の進行を早める可能性があります。そのため、愛犬がリラックスできる環境を整えることが必要です。
ストレスを減らす環境作り:
犬は環境の変化や不安を感じると、ストレスを抱えることがあります。家の中では静かな場所で休ませてあげたり、過剰な刺激を避けるようにしましょう。また、急な音や過度な興奮を避けるために、穏やかな雰囲気を保つことが大切です。
心をリラックスさせる方法:
愛犬がストレスを感じているときには、マッサージや穏やかな声で話しかけるなどの方法でリラックスを促進することができます。例えば、毎日の散歩の際にリラックスしたペースで歩くことで、愛犬は安心感を感じ、心の状態も安定します。また、寝床を快適に整えることも、犬が安心して休める場所を提供するために重要です。
ストレスが過剰にかかると、心臓病が悪化する可能性があるため、愛犬が心地よく過ごせるように配慮しましょう。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症は、犬の心臓に負担をかける病気で、進行すると心不全を引き起こすことがあります。病気の進行を防ぐためには、適度な運動と体重管理が大切です。また、定期的に獣医師の健康チェックを受け、病気の進行具合を確認することが重要です。ストレスを減らすために穏やかな環境を作ることも、心臓への負担を軽減するのに役立ちます。
食事面では、高品質なタンパク質、低ナトリウム、オメガ3脂肪酸などを含むフードが推奨され、獣医師と相談して愛犬に最適なフードを選ぶことが重要です。心臓病を持つ犬の健康を守るためには、食事、運動、ストレス管理を一貫して行い、獣医師のサポートを受けることが鍵となります。
- 心臓病の犬向けドッグフード6選【獣医師監修】 – こすもす動物診療所
- 犬の僧帽弁閉鎖不全症におすすめのドッグフード – OnePet
- 心臓病の犬におすすめのドッグフード8選!選ぶ際のポイントも解説 – ペットケアステーション
- 心臓病の犬に負担をかけないドッグフード選びのコツまとめ – POCHI
- 心臓ケア用のドッグフードおすすめ5選!選び方のポイントも紹介 – わんちゃんライフ
- 心臓病の犬におすすめなドッグフードランキング5選と選び方を解説 – StarSea
- いぬの「心臓病」のドッグフードの選びかた〜アメリカ獣医内科学会のガイドラインより – 自由獣医
- 心臓病の愛犬に買いたいドッグフードの人気おすすめランキング8選 – げん玉
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