
愛犬が膵炎と診断されると、「どんなドッグフードを選べばいいの?」と不安に感じる方も多いでしょう。膵炎の犬にとって、食事管理はとても重要です。適切なフードを選ぶことで、膵臓への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。
この記事では、
・膵炎の犬に適したドッグフードの選び方
・与える際の注意点
・おすすめのドッグフード
について詳しく解説します。
愛犬が少しでも快適に過ごせるよう、正しい知識を身につけて食事管理に役立ててください。
膵炎とは?犬に多い症状と原因を詳しく解説
膵炎(すいえん)は、膵臓の炎症を指します。
膵臓はお腹の中にある臓器で、消化酵素を分泌して食べ物を消化したり、血糖値を調整するインスリンなどのホルモンを分泌する重要な役割を担っています。
犬が膵炎になると、膵臓が自ら分泌した消化酵素によって自己消化を起こし、炎症や周囲の組織へのダメージを引き起こします。
急性膵炎と慢性膵炎の違い
犬の膵炎は、大きく急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。
種類 | 特徴 | 症状 | 治療方針 |
---|---|---|---|
急性膵炎 | 突然発症し、短期間で症状が現れる | 激しい腹痛、嘔吐、下痢、食欲不振 | 入院治療が必要になることも多い |
慢性膵炎 | 長期間にわたり炎症が続く | 軽度な症状が断続的に現れることが多い | 食事療法や定期的な検診が重要 |
・急性膵炎は緊急治療が必要な場合が多く、放置すると命に関わることもあります。
・一方、慢性膵炎は症状が軽いため気づかれにくいこともありますが、膵臓の機能低下が進行する恐れがあります。
犬の膵炎の主な症状
膵炎の症状は、犬の状態や炎症の程度によって異なりますが、以下のような症状が見られることが多いです。
一般的な症状
✅ 嘔吐:頻繁に吐く
✅ 下痢:軟便や水様便
✅ 食欲不振:食べ物を口にしない
✅ 腹痛:お腹を触られるのを嫌がる
✅ 元気消失:ぐったりして動かない
✅ 発熱:体温が高くなる
重症の場合の症状
✅ 脱水症状:水分を取らず、ぐったりする
✅ 呼吸困難:苦しそうに呼吸する
✅ ショック症状:意識がもうろうとする
これらの症状が見られた場合は、早急に動物病院を受診する必要があります。
犬が膵炎になる主な原因
犬の膵炎の原因は多因子性ですが、特に以下の要因が影響しています。
1. 高脂肪食の摂取
✅ 脂肪分の多い食べ物を食べると、膵臓に過度な負担がかかりやすくなります。
✅ 例:揚げ物、肉の脂身、人の食べ物
2. 肥満
肥満の犬は膵炎のリスクが高まります。脂肪が多い体は、膵臓に負担をかけるためです。
3. 他の病気や疾患
糖尿病やクッシング症候群などの内分泌疾患も、膵炎を引き起こしやすくします。
4. 特定の薬の影響
一部の薬剤(例:ステロイド薬)が膵炎を引き起こすことがあります。
5. 外傷や手術の影響
交通事故や手術の際の物理的なダメージが、膵臓に影響を与えることも。
犬の急性膵炎参考資料
「この1年で診断治療した犬の急性膵炎の20例」によりますと、
膵炎は犬における代表的な膵外分泌疾患で、急性と慢性に分類されます。発症には犬種、肥満、食事、薬物、内分泌疾患、外科手術などが関係し、特にミニチュア・ダックスフンドに多く見られます。主な症状は食欲不振、嘔吐、元気消失、下痢など非特異的で、確定診断には血液検査や画像診断が必要です。中高齢や肥満が危険因子として指摘されており、雄に多い傾向も報告されています。
参考資料:この1年で診断治療した犬の急性膵炎の20例
・膵炎は最も一般的な膵外分泌疾患であり,組織学的所見により急性膵炎,慢性膵炎に大別される。
・本疾患の危険因子としてさまざまなものが報告されており,犬種,食物,薬物,内分泌疾患併発のほか,肥満,外科手術等が含まれている。
・と臨床症状は食欲不振(91%),嘔吐(90%),元気消失(79%),下痢(33%)と非特異的であり,症状によって他の消化器疾患を鑑別するのは困難である。そのため,血液化学検査,画像診断を併用した総合的な判断が必須とされている。
・犬種ではミニチュア・ダックスフンドが8例と最も多く,続いて雑種4例,ヨークシャー・テリア2例,トイプードル2例,チワワ,ミニチュア・シュナウザー,ミニチュア・ピンシャー,ウィペットがそれぞれ1例であった。
・併発疾患は13例で認められ,内訳は椎間板ヘルニア3例,糖尿病2例,消化管内異物2例,肝疾患2例,アレルギー性皮膚炎1例,化膿性肉芽腫性炎症1例,炎症性腸疾患1例,バベシア症1例であった。
・犬における急性膵炎は一般診療において比較的頻繁に遭遇する消化器疾患であるが,病態について不明な点も多く,確定診断,治療に苦慮する疾患の一つである。急性膵炎発症の危険因子については様々な報告があるが,どれも確定的とは言い難い。
・Hess らは,急性膵炎発症の危険因子として中高齢,肥満等を指摘しており,本研究においても症例の平均年齢は9歳,平均BCSは3.7とやや高値を示した。
・性別は,本研究では雄に多い結果となった。
膵炎の犬が食べてはいけないもの
膵炎の犬にとって、食事管理は治療や再発予防のために非常に重要です。特に、脂肪分や刺激物の摂取は膵臓に負担をかけるため注意が必要です。ここでは、膵炎の犬が食べてはいけないものについて詳しく解説します。
1. 脂肪分の多い食べ物
脂肪分の多い食事は、膵臓に過剰な負担をかけ、膵炎を悪化させるリスクがあります。
✅ 具体例
・揚げ物や炒め物(唐揚げ、天ぷら、フライドポテト)
・脂身の多い肉(牛肉や豚肉の脂身、ベーコン)
・乳製品(バター、生クリーム、チーズ)
・脂肪分の多いドッグフード(高エネルギータイプや総合栄養食以外の補助食)
✅ ポイント
低脂肪の食材を選び、消化に優しいフードを与えることが推奨されます。
2. 香辛料や味付けの濃い食べ物
塩分や調味料を含む食べ物は、膵臓だけでなく腎臓や心臓にも負担をかけます。
✅ 具体例
・加工食品(ソーセージ、ハム、ベーコン)
・スナック菓子
・人の食べ物全般(特に味付けが濃いもの)
✅ ポイント
膵炎の犬には、薄味または無味の食事を心掛けましょう。
3. 高糖質の食べ物
糖分の過剰摂取は、膵臓に負担をかける原因になります。特に急性膵炎の犬には避けるべきです。
✅ 具体例
・ケーキやクッキー
・チョコレート(中毒の危険もあり非常に危険)
・甘いフルーツ(マンゴー、バナナなど)
✅ ポイント
糖分を控えつつ、低糖質の野菜や消化の良いフードを与えましょう。
4. 刺激物や中毒性のある食べ物
膵炎に限らず、犬にとって危険な食べ物も多いため注意が必要です。
✅ 具体例
・ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、にんにく)
・ぶどうやレーズン
・アルコールやカフェイン
・キシリトールを含む食品(ガムやお菓子)
✅ ポイント
これらは膵臓だけでなく、他の臓器にも重大な影響を及ぼすため、絶対に与えないようにしましょう。
5. 人の食べ残しや脂っこい汁物
膵炎の犬にとって、人の食べ物の脂分や調味料は過剰な負担となります。特に食べ残しや調理の際に出た脂を舐めてしまうケースに注意が必要です。
✅ 具体例
・焼肉の脂や肉汁
・鍋料理のスープ
・炒め物の油
✅ ポイント
テーブルの上に食べ物を放置しない、食事中に犬が近づかないようにするなどの対策をしましょう。
膵炎の犬に食べさせると良い食べ物
膵炎の犬にとって、適切な食事管理は非常に重要です。
膵臓への負担を減らし、症状を悪化させないためには、低脂肪で消化の良い食材を中心にした食事を与える必要があります。
ここでは、膵炎の犬におすすめの食べ物について、分かりやすく詳しく解説します。
1. 低脂肪のドッグフード
膵炎の犬には、療法食や低脂肪フードが最適です。
動物病院で処方される療法食は、脂肪分が抑えられつつ栄養バランスが整っているため、膵炎の管理に効果的です。
✅ 選び方のポイント
・脂肪含有量が低い(5〜10%程度)
・消化の良いタンパク質を含む(鶏肉、魚など)
・食物繊維が少なめ(腸への負担を減らす)
✅ おすすめタイプ
・低脂肪療法食
・消化器サポート食
※必ず獣医師の指導のもとで選びましょう。
2. 低脂肪の肉類・魚類
膵炎の犬には、脂肪分の少ない肉や魚が適しています。
タンパク質は筋肉維持や免疫力向上に欠かせないため、積極的に取り入れましょう。
✅ おすすめ食材
・鶏ささみ:低脂肪で消化が良い
・鶏胸肉:茹でたり蒸したりして与える
・白身魚:タラ、ヒラメ、鯛など脂肪分が少ない
・卵白:高タンパク・低脂肪
✅ 与え方のポイント
・茹でる・蒸すことで余分な脂を落とす
・味付けは一切せず、無塩・無味で与える
3. 消化に良い炭水化物
膵炎の犬には、エネルギー源となる炭水化物も必要です。
特に、消化しやすく胃腸に優しい食材を選びましょう。
✅ おすすめ食材
・白米:消化が良く、膵臓への負担を軽減
・お粥:柔らかく煮て胃腸に優しい
・じゃがいも・さつまいも:ビタミン・ミネラルが豊富
✅ 与え方のポイント
・柔らかく茹でて、ペースト状や細かく潰した状態で与える
・適量を守り、炭水化物ばかりにならないよう注意
4. 消化を助ける野菜類
膵炎の犬には、食物繊維が少なく消化の良い野菜を少量与えるのがおすすめです。
野菜にはビタミンやミネラルが豊富で、腸内環境の改善にも役立ちます。
✅ おすすめ食材
・にんじん:柔らかく煮ることで消化しやすい
・かぼちゃ:βカロテンが豊富で免疫力アップ
・ズッキーニ:低カロリーで水分が多い
✅ 与え方のポイント
・皮や種は取り除く
・蒸す・茹でるなどして柔らかく調理
・細かく刻んだり、ペースト状にする
5. 水分補給も忘れずに
膵炎の犬は脱水症状を起こしやすいため、十分な水分補給も大切です。
特に食欲が落ちているときは、水分補給を意識しましょう。
✅ おすすめ方法
・ぬるま湯や白湯を与える
・低脂肪スープ(鶏ささみを茹でたスープなど)
・水分を含む食事(お粥や茹で野菜)
✅ 注意点
塩分や調味料は一切使用しないようにしましょう。
食事の与え方のポイント
✅ 膵炎の犬に食事を与える際は、以下の点にも注意が必要です。
✅ 少量を複数回に分けて与える:1日4〜5回程度に分けることで膵臓の負担を軽減
✅ 急に食事を変えない:徐々に切り替えることで消化器官への負担を抑える
✅ 適量を守る:過剰な食事は膵炎を悪化させる原因になるため、獣医師の指示に従いましょう
犬の膵炎に適した食事の重要性
犬の膵炎は、膵臓に炎症が起きる疾患で、食事が病状の改善や再発予防に大きく関わっています。
膵臓は、食べ物の消化に必要な酵素を分泌する重要な臓器ですが、膵炎になるとこの働きがうまくいかなくなります。
そのため、膵炎の犬には膵臓に負担をかけない食事が必要です。
ここでは、犬の膵炎に適した食事の重要性や療法食が推奨される理由について詳しく解説します。
1. 食事管理が膵炎の治療に与える影響
膵炎の治療において、適切な食事管理は薬物療法と並んで非常に重要です。
膵臓は食事を摂ることで活発に働き、消化酵素を分泌しますが、膵炎の犬ではこの働きが逆に膵臓を傷つけてしまいます。
食事管理の主な目的
✅ 膵臓の負担を軽減:消化酵素の過剰分泌を抑える
✅ 炎症の悪化を防ぐ:刺激の少ない食事で膵臓を守る
✅ 栄養補給:回復を助けるために必要な栄養素を摂取
✅ 再発予防:脂肪分の管理により再発リスクを低減
不適切な食事の影響
✅ 膵臓の炎症が悪化し、症状が重症化
✅ 消化不良や下痢・嘔吐の原因に
✅ 治療の効果が十分に得られない
そのため、膵炎の犬専用の療法食を選ぶことが治療の成功に繋がります。
✅ 2. 療法食が推奨される理由
膵炎の犬には、獣医師が推奨する療法食を与えることが一般的です。
療法食は、膵炎の犬の体に必要な栄養バランスを考慮して作られており、以下の点で優れています。
低脂肪設計
✅ 脂肪は膵臓に大きな負担をかけるため、脂肪含有量を抑えた療法食が最適です。
✅ 一般的には脂肪含有量が10%以下のものが推奨されます。
高消化性のタンパク質
✅ 消化しやすいタンパク質(鶏肉や白身魚など)を使用しており、消化管への負担を軽減します。
適切なエネルギー供給
✅ 脂肪を抑えつつ、炭水化物やタンパク質でエネルギーを補う工夫がされています。
✅ これにより、膵炎の犬でもエネルギー不足を防ぐことができます。
ビタミン・ミネラルの補給
✅ 炎症による栄養不足を補うため、必要なビタミンやミネラルが適切に含まれています。
消化器サポート
✅ 胃腸に優しい成分が含まれており、嘔吐や下痢などの症状を軽減します。
療法食を選ぶ際のポイント
✅ 膵炎の犬に適した療法食を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
✅ 低脂肪(脂肪含有量10%以下)
✅ 高消化性タンパク質使用
✅ 適切な炭水化物源(米やじゃがいもなど)
✅ 消化器サポート成分含有
また、犬の体調や体重、年齢、活動量に応じて、獣医師と相談しながら選ぶことが大切です。
膵炎の犬に合うドッグフードの選び方・注意点
膵炎は、犬の膵臓に炎症が起こる病気で、消化機能に大きな影響を与えます。適切なドッグフードを選ぶことで、膵臓への負担を減らし、愛犬の健康をサポートできます。ここでは、膵炎の犬におすすめのドッグフードの選び方とそのポイントを詳しく解説します。
1. 低脂肪を重視する理由
膵炎の犬には低脂肪のドッグフードを選ぶことが最も重要です。その理由は以下のとおりです。
✅ 膵臓への負担を軽減:脂肪の消化には膵臓が分泌する消化酵素(リパーゼ)が必要ですが、膵炎を患っている犬はこの酵素の分泌が不安定なため、脂肪の多い食事は膵臓をさらに疲弊させてしまいます。
✅ 再発予防:脂肪分が高いフードを摂取すると、膵炎が再発しやすくなります。
✅ 体重管理:膵炎の犬は適正体重を維持することが重要です。脂肪分が多いとカロリーが高くなり、肥満につながる可能性があります。
選び方のポイント
✅ 脂肪含有量が10%以下のフードを選ぶ(ドライフードの場合)
✅ ウェットフードなら3%以下を目安にする
✅ 「低脂肪」「脂質控えめ」と記載のあるものをチェック
✅ 避けるべき食材:牛肉の脂身、鶏の皮、チーズ、バターなど脂質が高いもの
2. 消化の良いタンパク質の選び方
膵炎の犬は、消化しやすいタンパク質を適量摂取することが大切です。
✅ 消化しやすい動物性タンパク質を選ぶ:鶏のささみ、白身魚(タラ・ヒラメ)、卵白などは消化に優れています。
✅ 赤身肉よりも白身肉や魚を選ぶ:牛肉や豚肉よりも、脂肪分の少ない鶏肉(特にささみ)や白身魚のほうが膵臓への負担が少ないです。
✅ 植物性タンパク質は控えめに:大豆や豆類のタンパク質は消化しづらい場合があるため、できるだけ動物性タンパク質を中心にしましょう。
選び方のポイント
✅ 「消化しやすいタンパク質使用」と記載があるかチェック
✅ 低脂肪の肉類(鶏ささみ・白身魚・七面鳥など)が主原料になっているものを選ぶ
✅ 高タンパクすぎるフードは避ける(膵臓への負担になることがあるため)
3. 添加物や保存料の少ないフードを選ぶポイント
膵炎の犬には、添加物や保存料が少ないナチュラルなフードを選ぶことも重要です。化学的な添加物は消化器官に負担をかける可能性があるため、できるだけ避けましょう。
避けるべき添加物
✅ 人工保存料(BHA、BHT、エトキシキンなど)
✅ 人工着色料・香料(犬にとって不要で、消化の負担になることがある)
✅ 合成酸化防止剤(天然由来のビタミンEやローズマリー抽出物が使われているものが望ましい)
選び方のポイント
✅ 「無添加」「ナチュラル」と記載されているフードを選ぶ
✅ 原材料表をチェックし、不明な成分が少ないものを選ぶ
✅ 防腐剤・着色料を含まないフードを選ぶ
膵炎の犬に手作りご飯はOK?注意点とレシピ紹介
膵炎の犬に手作りご飯を与えることは可能ですが、慎重に栄養バランスを考える必要があります。適切な食材を選ぶことで膵臓への負担を減らし、愛犬の健康をサポートできます。
1. 手作り食のメリット・デメリット
◎ 手作り食のメリット
1.食材を管理しやすい
低脂肪の肉や消化の良い食材を選べるため、膵臓に優しい食事を作れる。
2.添加物を避けられる
市販フードには保存料や人工添加物が含まれることがあるが、手作りなら無添加の食事が可能。
3.新鮮な食材を使える
鮮度の高い食材を使うことで、栄養価の高い食事を提供できる。
4.食欲が落ちた犬でも食べやすい
愛犬の好みに合わせて食材を調整できるので、食いつきがよくなることが多い。
× 手作り食のデメリット
1.栄養バランスを整えるのが難しい
必要なビタミンやミネラル(特にカルシウムやオメガ3脂肪酸など)が不足しやすい。
2.食材選びを間違えると膵臓に負担をかける
高脂肪の食材(牛肉の脂身、チーズ、バターなど)を使うと膵炎を悪化させる可能性がある。
3.調理の手間がかかる
栄養バランスを考えながら調理するのは時間がかかる。
4.獣医師の監修が必要
手作り食だけにすると栄養が偏る可能性があるため、獣医師と相談しながら進めるのがベスト。
2. 獣医師推奨のレシピ例
膵炎の犬に適した手作りご飯は、低脂肪・高消化・栄養バランスを考慮することが重要です。以下に獣医師が推奨するレシピの例を紹介します。
① 鶏ささみと野菜の雑炊(低脂肪で消化に優しい)
✅ 材料(1食分)
・鶏ささみ(茹でて細かくほぐす) … 50g
・にんじん(細かく刻む) … 10g
・かぼちゃ(皮をむいて柔らかくする) … 10g
・白米 … 30g
・水 … 適量
✅ 作り方
1.鶏ささみを茹でて細かくほぐす。
2.にんじんとかぼちゃを柔らかく煮る。
3.白米と一緒に鍋で煮込み、雑炊状にする。
4.火を止めて冷ましたら完成!
✅ ポイント
・かぼちゃは消化が良く、エネルギー補給にもなる。
・食欲がないときは、スープを多めにしてあげると飲み込みやすい。
② 白身魚と豆腐のおじや(消化しやすくタンパク質豊富)
✅ 材料(1食分)
・タラ(骨を取り除き、茹でる) … 50g
・豆腐(絹ごし) … 30g
・にんじん(すりおろし) … 10g
・白米 … 30g
・水 … 適量
✅ 作り方
1.タラを茹でてほぐし、骨を完全に取り除く。
2.豆腐を崩しながら鍋に入れる。
3.白米とにんじんを加え、水を足して煮込む。
4.冷ましてから与える。
✅ ポイント
・白身魚は低脂肪で消化が良いため、膵炎の犬におすすめ。
・豆腐は低脂肪で良質なタンパク源。
③ さつまいもと鶏むね肉のスープ(食欲増進・栄養補給)
✅ 材料(1食分)
・鶏むね肉(皮なし・茹でて細かく刻む) … 50g
・さつまいも(皮をむき、小さく切る) … 20g
・キャベツ(細かく刻む) … 10g
・水 … 200ml
✅ 作り方
1.鶏むね肉を茹でて細かく刻む。
2.さつまいもとキャベツを水と一緒に鍋に入れ、柔らかくなるまで煮る。
3.冷ましてから与える。
✅ ポイント
・さつまいもは消化が良く、エネルギー補給にも◎。
・水分補給ができるため、脱水対策にもなる。
3. 手作り食を与える際の注意点
✅ 必ず低脂肪の食材を選ぶ
鶏ささみ、白身魚、豆腐、卵白などを使う。
✅ 消化の良い調理法を心がける
食材は必ず茹でるか蒸して、細かく刻んだりすり潰してあげる。
✅ 味付けは一切不要
塩や醤油などの調味料は犬にとって有害なので使わない。
✅ カルシウムやビタミンの不足に注意
手作り食のみではカルシウムが不足しやすいため、獣医師の指導のもとサプリメントを使用するのも一案。
✅ 食べる量を調整する
手作り食は市販のフードよりカロリーが低くなることがあるため、体重の変化を見ながら調整する。
膵炎の犬のためのドッグフードの切り替え方法と与え方の注意点
膵炎の犬に合ったドッグフードを選んだら、次は正しい切り替え方法と食事の与え方を知ることが大切です。急な変更は消化不良を引き起こし、膵臓に負担をかける可能性があります。ここでは、徐々にフードを切り替える方法や、食事量・回数の調整について詳しく解説します。
1. ドッグフードを切り替える際の注意点
ドッグフードを切り替えるときは、徐々に新しいフードを増やしていくことが重要です。急な変更は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
✅ 下痢や嘔吐(消化器官が新しいフードに慣れていないため)
✅ 食欲不振(味や食感が変わることで拒否することがある)
✅ 膵炎の悪化(消化が追いつかず、膵臓に負担をかける)
特に膵炎の犬は消化機能が敏感なため、慎重に切り替えることが大切です。
2. 徐々に切り替えるステップ
基本の切り替えスケジュール(7〜10日間)
以下のように、新しいフードの割合を少しずつ増やしていきます。
日数 | 旧フード | 新フード |
---|---|---|
1〜2日目 | 75% | 25% |
3〜4日目 | 50% | 50% |
5〜6日目 | 25% | 75% |
7〜10日目 | 0% | 100% |
切り替えがうまくいかない場合
✅ 便がゆるくなった場合:新しいフードの量を増やすペースを遅らせる。
✅ 食欲が落ちた場合:旧フードとよく混ぜ、ふやかしたり温めたりして食べやすくする。
✅ 嘔吐・下痢が続く場合:すぐに獣医師に相談する。
より慎重に切り替える方法(2週間以上かける)
膵炎が重度の場合や、消化器系が特に弱い犬は、2週間以上かけてゆっくり切り替えるのも良い方法です。この場合、1週間ごとに10〜15%ずつ新フードを増やすと、体への負担が少なくなります。
3. 食事量や回数の調整方法
適切な食事量の決め方
膵炎の犬は適切なカロリー摂取が重要です。一般的には、体重1kgあたり約50〜70kcalが目安ですが、個々の犬の状態によって異なるため、獣医師と相談しながら調整しましょう。
▼ 食事量の計算例(体重5kgの犬の場合)
✅ 必要カロリー:5kg × 60kcal = 約300kcal / 日
✅ 選んだドッグフードのカロリーが100gあたり350kcalの場合、1日の適量は 約85g(300 ÷ 3.5) となる。
1日あたりの食事回数
膵炎の犬には1回の食事量を減らし、回数を増やすことが推奨されます。
犬の状態 | 食事回数の目安 |
---|---|
軽度の膵炎 | 1日3〜4回 |
慢性膵炎・再発予防 | 1日4〜5回 |
急性膵炎の回復期 | 1日5〜6回(少量ずつ) |
食事回数を増やす理由
✅ 膵臓への負担を減らすため、少量ずつ消化しやすくする
✅ 血糖値の安定に役立つ
✅ 嘔吐や消化不良のリスクを減らす
4. ドッグフードの与え方のポイント
フードをふやかす
✅ ドライフードはぬるま湯でふやかすと消化がしやすくなる。
✅ ふやかすことで水分補給にもつながる。
電子レンジで軽く温める(人肌程度)
✅ 香りが立ち、食欲が落ちている犬でも食べやすくなる。
✅ 冷たすぎると消化に負担がかかるので注意。
食べない場合はトッピングを工夫
✅ 低脂肪の鶏ささみや白身魚を細かくして混ぜる。
✅ かぼちゃやさつまいものペーストを少量加える。
水分補給も忘れずに!
✅ 膵炎の犬は脱水を起こしやすいので、スープ状にするのもおすすめ。
✅ 低脂肪の鶏がらスープ(無塩)を少し混ぜると食べやすくなる。
膵炎の犬の生活管理のポイント
膵炎の犬の健康を守るためには、食事管理だけでなく生活全般の管理も重要です。膵臓に負担をかけない生活習慣を心がけることで、再発を防ぎ、愛犬が快適に過ごせるようになります。ここでは、食事以外で気をつけるべきポイントや、定期的な健康チェックの重要性について詳しく解説します。
1. 食事以外で気をつけること
① 運動は無理のない範囲で
膵炎の犬には適度な運動が必要ですが、激しい運動は膵臓に負担をかけるため注意が必要です。
✅ 適した運動
・短時間の散歩(1回10〜15分)を1日2〜3回
・室内での軽い遊び(ボール遊びや知育玩具を使う)
❌ 避けるべき運動
・長時間の散歩や激しい走り込み
・高温・寒冷時の運動(膵臓の負担や体調悪化の原因になる)
・運動後の大量の水飲み(膵液分泌を促し、負担がかかる)
💡ポイント
犬の様子を見ながら、疲れすぎていないか、呼吸が荒くなっていないかをチェックし、無理のない範囲で運動させましょう。
② ストレスを減らす
ストレスは膵炎の悪化につながることがあります。環境や飼い主の接し方に気をつけ、安心できる生活を提供することが大切です。
✅ ストレスを減らす工夫
・静かで落ち着ける環境を作る(騒音を避け、リラックスできる場所を用意)
・生活リズムを一定にする(食事や散歩の時間をできるだけ固定)
・家族のスキンシップを大切に(無理のない範囲でマッサージや声かけをする)
❌ ストレスの原因
・急な環境変化(引っ越し・家族の変化など)
・大きな音や騒音(工事音・花火・雷など)
・長時間の留守番や運動不足
💡ポイント
ストレスが多いと消化不良や免疫力低下を引き起こすことがあります。愛犬の様子をよく観察し、安心できる環境を整えてあげましょう。
③ おやつや間食の管理
膵炎の犬にとって、高脂肪のおやつは大敵です。おやつの選び方にも注意しましょう。
✅ 与えてOKな低脂肪のおやつ
・野菜類(かぼちゃ・さつまいも・ニンジンを蒸したもの)
・低脂肪の鶏ささみや白身魚を茹でたもの
・無糖・無脂肪のヨーグルト(少量)
❌ 避けるべきおやつ
・市販のジャーキーやスナック(高脂肪・添加物が多い)
・チーズや乳製品(脂肪分が高い)
・人間用の食べ物(特に揚げ物や加工食品はNG)
💡ポイント
おやつを与える場合は低脂肪・無添加のものを選び、1日のカロリー摂取量の10%以内に抑えましょう。
2. 定期的な健康チェックの重要性
膵炎の犬は再発しやすいため、定期的な健康チェックが欠かせません。獣医師の診察を受けながら、早期発見・早期治療を心がけましょう。
① 動物病院での定期検診
膵炎の犬は少なくとも3〜6ヶ月に1回の定期検診が理想です。
特に、以下の項目をチェックしてもらいましょう。
🔍 定期検診で確認すること
・血液検査(膵臓の数値・肝機能・腎機能)
・超音波検査(膵臓の炎症や腫れの有無)
・体重測定(体重の急な変化は膵炎悪化のサイン)
💡ポイント
膵炎の症状が落ち着いていても、定期的な検査で異常がないか確認することが大切です。
② 自宅での健康チェック
日常の中でちょっとした体調の変化に気づくことも重要です。
🔍 毎日チェックしたいポイント ✅ 食欲があるか(食べる量が減っていないか)
✅ 便の状態(下痢・脂っぽい便が出ていないか)
✅ 嘔吐や腹痛の兆候がないか
✅ 元気や動きに変化がないか(ぐったりしていないか)
❌ 危険なサイン(すぐに病院へ!)
・突然の嘔吐や下痢が続く
・腹部を触ると痛がる(丸まる・震える)
・食欲が極端に落ちる
・水を飲む量が増えたり減ったりする
💡ポイント
いつもと違う様子が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう!
症状が悪化する前に対処することが、膵炎の再発予防につながります。
膵炎が再発しやすいのはなぜ?
膵炎は、一度発症すると再発しやすい病気です。その理由を理解し、適切な管理をすることで、愛犬の健康を守ることができます。
① 膵臓は一度ダメージを受けると回復しにくい
膵臓は消化酵素を分泌する重要な器官ですが、一度炎症を起こすと回復が難しく、機能が低下しやすいのが特徴です。
・膵炎の炎症によって組織が損傷すると、完全には元に戻らないことが多い。
・ダメージを受けた膵臓は刺激に対して敏感になり、再び炎症を起こしやすい。
🔍 ポイント:膵臓に負担をかけない生活を心がける!
適切な食事や生活管理で膵臓を刺激しないことが再発防止の鍵になります。
② 高脂肪の食事や間違ったフード選び
膵炎の最大のリスク要因の一つが高脂肪の食事です。
❌ 再発を招く食事の例
・脂肪分の多い食事(揚げ物・脂身の多い肉・チーズなど)
・人間の食べ物を与える(調味料や油が含まれているため危険)
・市販の高カロリーなおやつ(ジャーキー・ビスケットなど)
✅ 再発を防ぐ食事管理
・低脂肪・高消化性のドッグフードを選ぶ
・手作り食なら、茹でた鶏ささみや白身魚を中心に
・おやつも低脂肪で無添加のものを選び、与えすぎに注意
③ ストレスや環境の変化が影響する
ストレスは膵炎の再発リスクを高める要因の一つです。
😰 ストレスの原因例
・急な環境の変化(引っ越し・家族の変化など)
・長時間の留守番や孤独
・過度な運動や興奮状態が続くこと
🔍 ストレスを減らすための工夫
✅ 生活リズムを整える(食事・散歩・就寝時間をできるだけ一定に)
✅ 安心できる場所を作る(静かで落ち着いたスペースを確保)
✅ スキンシップを大切にする(無理のない範囲で撫でたり話しかけたり)
④ 慢性的な膵臓への負担(基礎疾患や体質)
膵炎が再発しやすい理由の一つに、他の病気や体質が影響している場合もあります。
🩺 再発リスクを高める要因
・糖尿病やクッシング症候群などの基礎疾患を持っている
・肥満気味で膵臓に負担がかかっている
・遺伝的に膵炎を起こしやすい犬種(ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリアなど)
🔍 再発を防ぐためにできること
✅ 定期的な健康チェックを受ける(血液検査・体重管理)
✅ 食事と運動のバランスを適切に保つ
✅ 犬種や体質に合った生活管理を意識する
まとめ
膵炎の犬に適したドッグフードを選ぶことは、病気の管理と再発予防の鍵になります。低脂肪・高消化性・無添加のフードを選び、食事の切り替えや与え方にも注意しましょう。また、生活習慣の見直しや定期的な健康チェックを行い、愛犬が快適に過ごせる環境を整えてあげることが大切です。日々のケアを続けながら、膵炎とうまく付き合っていくことが愛犬の健康を守るポイントです!🐶✨
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